大塚淳のサイト

HOME | 論文 | 発表 | 授業 | リンク | ENGLISH

京都大学文学研究科哲学専修 准教授
理化学研究所革新知能統合研究センター因果推論チーム 客員研究員

電話: (+81)-75-753-2700
E-mail: jotsuka [at] bun.kyoto-u.ac.jp
Curriculum Vitae

研究領域

科学哲学、特に生物学(進化論)の哲学、統計学の哲学。科学哲学って何?という人はこちらこちらをどうぞ。

生物学の哲学

  • ダーウィンに端を発する進化生物学は、20世紀初頭の集団遺伝学を経て、数学的に定式化されてきました。遺伝子頻度変化や系統分析など、現代の進化論的推論の多くには数理モデルが介在しています。しかしなぜ、アプリオリに「頭の中」で考えられた数学が、経験的事象である進化を捉えることができるのでしょうか。集団遺伝学の誕生時より、生物学者や哲学者は、進化論における数理モデルの役割について論を重ねてきました。私はこうした文脈において、因果モデル理論などを援用することにより、なぜ集団遺伝学の数理的モデルが、実際の生物集団の進化動態を予測できるのかについて、明らかにしてきました。またこれは、進化論はそもそもどのような理論構造を持つのか、そして哲学者はそれをどのように分析すべきなのか、というより広い科学哲学的問題にも含意を有しています。
  • <関連する主な業績>

統計学の哲学

  • 統計学は、データから科学的仮説を正当化する装置として、現代において特権的な役割を持っています。ではなぜ、統計学はそのような役割を果たすことができるのでしょうか。統計的推論は一種の帰納推論ですが、すでにヒュームの時代より、前提以上のことを結論しようとする帰納推論には論理的な不可能性がつきまとうことが指摘されていました。現代統計学はこの困難を、確率モデルや因果モデルなどといった「自然の斉一性」を対象の側に想定し、それを数理的手法によって推定することで乗り越えようとしてきました。しかしその想定や手法は一枚岩ではなく、ときにその違いから混乱や対立(例えばベイズ vs 頻度主義やRubin vs Pearlなど)が生じてきています。私はこの点を、哲学的な存在論・意味論・認識論の観点から分析することで、統計学とは一体どのようにして帰納推論を行っているのかを明らかにすることを目指しています。
  • <関連する主な業績>

Created: 2021-03-29 Mon 17:07